これまで、物体がどの波長の光を吸収し、どの波長の光を反射するかで色が決まるとお話ししてきました。 ただ、まだまだ説明不足な感じがします。 そこで、今回は光の反射と吸収について、もう少し詳しくお話したいと思います。
下のグラフを見てください。
これは分光反射率曲線(分光カーブ)と呼ばれるグラフで、対象となる物体がどの波長の光をどれくらいの割合で反射するのか表したものです。 この図だと、ヨコ軸(波長)の左側、すなわち短波長や中波長の光はほとんど反射されていません。 反対に右側の長波長の光がほとんど反射されています。 もうお分かりでしょうか。 この図はサクランボのような赤い物体の分光カーブを表しているのです。
このように、分光カーブは色によって形状が異なります。
青 |
緑 |
黄 |
続いて、下の3つのグラフを見てください。
白 |
灰 |
黒 |
3つのグラフとも曲線がほぼ水平の形状になっています。 これは、いずれの波長の光も一様に反射していることを意味します。 しかし、3つの曲線はタテ軸(反射率)の高さが違います。 一番左の図は、ほとんどの割合で光を反射していますね。 あらゆる波長の光をほとんど反射する・・・これが白なのです。 逆に一番右の図はほとんど反射していません。 言い換えればほとんど吸収していることになります。 これが、黒です。 では真ん中の図はどうでしょうか。 半分程度の反射率ですね。 これは灰色を表しています。
このことから分かるように、白や黒、灰色といったモノトーンを構成する色みのない色は、どの波長の光も一様に反射します。 ただ、反射率によって明るさ(白さ)が変わるのです。 反射率が高いほど灰色でも白に近い(明るい)灰色になり、逆に低いほど黒に近い(暗い)灰色になります。
これまでは、白い色の物体はすべての波長の光を反射する、と少しあいまいな表現を用いてきました。 しかし、すべての波長の光を反射するのは灰色にも言えることです。 赤や青だって、程度の差こそあれどの波長も反射していますね。 これからは、白い色の物体はすべての波長の光を一様にそして高率で反射する、と定義できます。 また、赤い色の物体は長波長の光を100%反射して、短波長の光を100%吸収する(反射率0%)わけではないこと、つまり反射した光の中には短波長・中波長の光も含まれていることが分かると思います。
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