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6.色の混合(その3)


紫陽花

 まだまだ、紫のアジサイの水彩画を描いているとしましょう。 ところが、手元にはやっぱり紫色の絵の具がありません。 こんなとき、あなたならどうしますか。 絵の具を買いに行く、青いアジサイに変更する・・・など、いろいろ考えられますが、選択肢の1つとして「紫色をつくる」というのもありますね。 紫色をつくるのは簡単です。 赤色の絵の具と青色の絵の具を点状に交互に塗っていけば、遠くから見るとあたかも紫色のように見えるはずです。 でもなぜ、赤と青を混ぜないで紫色に見えるのでしょうか。 今回は、このような「中間混色」の原理を説き明かしてみます。

 下の2つの図を見てください。 左の図は、黄色と緑色のマスが交互に並んでいます。 右の図も、よーく見ると黄色と緑色のマスが交互に並んでいるのですが、マス目がとても小さいので、離れてみると混ざり合って黄緑色のように見えてしまいます。 これを「並置混色」と言います。 これは、目の網膜で個々の色を区別することができなくなり、ひとつの色として知覚してしまう現象です。

黄色と緑色      黄緑色?

 点描画による印象派の絵画も、並置混色の応用例です。

 次は「回転混色」です。 下のように、黄色と緑色に塗り分けられたコマを回転させると、黄緑色になります。 これは黄色と緑色が高速で交互に入れ替わるため、目の網膜がこれに追いつかず、ひとつの色に見えてしまうのです。

回転混色

 このように、並置混色や回転混色は網膜上で混色されるという性質があります。 もちろん、どんなに細かく並んだマスも顕微鏡で拡大すればきちんと色の区別ができます。 回転するコマも、止めてしまえば色の区別ができます。 そこが不思議な性質です。

 並置混色も回転混色も、混色の結果つくり出される色は加法混色と同じになります。 その点において、分類上は加法混色の一種とされています。 そのため、並置混色は並置加法混色、回転混色は継時加法混色とも呼ばれます。 ただし、混色による明るさの変化は、もとの色の面積比に応じた中間の明るさになります。 そこで、加法混色・減法混色と区別して中間混色と呼ぶこともあります。


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